投資先紹介

CASE STUDY

Case 1.

[海外展開支援] アジア展開を強化し、グローバルで圧倒的なNo.1を目指す

社名 : マークテック株式会社 業種 : 非破壊検査用品、機器の開発、製造及び販売
当該案件は、第二回(2015年度) JPEAアウォード「グローバルニッチへのチャレンジ賞」を受賞しました。
マークテック株式会社 代表取締役社長 西本 圭吾様

キャス・キャピタルが派遣するプロフェッショナル・マネジメントとして、マークテック株式会社に参画した経緯

弊社はニッチな業界ではありますが、非破壊検査事業と印字・マーキング事業でそれぞれ国内シェアNo.1であるというところに魅力があります。機械装置と探傷剤やペイントといった消耗品との紐付き販売による強固なビジネスモデルがあり、創業以来70年近くずっと黒字を続けています。事業承継を前提とした経営参画という点に興味があり、アジアを中心としたグローバル展開にも関心がありましたので、良い機会であると感じました。

印字装置(マーキング)

キャス・キャピタル投資時、西本社長が取り組まれた内容についてお聞かせください。

なるべく若い生え抜きの人材を登用していくことを目指しました。新たに執行役員制度を導入しましたが、直ちに執行役員として登用するということではなく、執行役員「候補」を選定して、1年間見た上で、選任するようにしました。中には、執行役員候補から外れてしまう人も出てきますが、毎年見直しながら、人材プールの中で入れ替えを行い、切磋琢磨できる制度にしました。執行役員となった人間には、できる限り権限を移譲して、前例にとらわれず積極的に提案してもらい、良い方策を考案してもらうように働きかけました。また、残念ながら過去に弊社を退職した人材にもコンタクトを取って、「新体制になったのでぜひもう一度一緒にやろう」と声をかけて呼び戻したりもしていました。「辞めても戻って来ることができる」という風土の会社に変えていきました。
人事評価制度については、期初に目標を設定して、組織の目標から個人の目標にブレイクダウンするということを行いました。今までは、どのような評価をされているのか分からないという感覚があったところから、公平性・透明性の観点からプロセスを重視して「見える化」を行ったことで、部門長や社員との信頼関係を築くことができました。また、ビジョンや行動規範の作り込みにも着手し、具体的には、「目指せ100年企業!マークテックグループ風土改革」というプロジェクトを立ち上げて全社員で取り組み、一体感を醸成しました。

当時、苦労された話、印象深い話があればお聞かせください。

参画当時は、もともとのオーナーである前会長がいらっしゃいましたので、コミュニケーションにも非常に気を使いながら、オーナーの意向も常に確認しながら取り組みました。私は金融機関出身ですので、銀行や証券会社の対応には慣れており、参画当初、管理部門において管掌した財務・経理の関連業務については、無難に遂行でき社内での信頼も得ることができました。その後は、工場部門も管掌となりましたが、技術的な経験がない中で、相当気を使いながら溶け込むように努力しました。また、役員・社員のモチベーション向上に向けた取り組みとしては、コーチングスタイルを社内に取り入れ、全社員と1-on-1の個人面談なども実施しました。最初は戸惑いもあったかと思いますが、経営陣がいろいろな意見を積極的に取り入れて反映させることにより、社内での信頼関係を構築することができました。

キャス・キャピタルと仕事を一緒にしてみてどうでしたか。

まず、「目的」と「目標」は違うということを徹底的に学びました。目標はその時点の通過点であり、目的はドラッカー(Peter F. Drucker)が「企業の目的は顧客の創造」というように、独自の製品やサービスを提供してお客様に喜んでもらって社会に貢献するという根幹の部分です。その根幹のところで「強い会社をより強くする」ということがキャス・キャピタルの投資方針ですので、それを実践していく過程でたくさんのことを経験しました。キャス代表の川村さんからは、「なれる最高の自分になる、なれる最高の組織・会社を目指しましょう」ということを折に触れて言われました。そのために、お客様に喜ばれる小さな行動を意識して徹底して、かつ継続して積み重ねるということを意識しながら日々取り組みました。
また、キャス・キャピタルのメンバーとともに、「見える化」の推進に取り組みました。具体的には、新製品開発テーマ、機械装置の引合い・見積もり対応状況、受注済機械装置案件の進捗状況、原価管理、機械品・化成品の操業度見込みなどの「見える化」を実現できたことは大きかったと感じております。キャス・キャピタルは、ハンズオンで入り込んでプロパー人材が育ってくるまでじっくり待って、かなり腰を据えて取り組むことができるファンドであると強く感じました。

今後のキャス・キャピタルに期待すること

キャス・キャピタルは、会社をより強くして次につなげるということを真剣に考えているファンドなので、そのビジョンを貫き、より一層社会課題の解決に貢献してくれることを期待しています。なぜなら、日本には、しっかりとしたビジネスモデルを有するにもかかわらず、後継者難から将来のビジョンが描けないような中堅・中小企業が多く存在しており、ブランド・雇用を維持しつつ、次なるステージへ成長を加速させてくれるバイアウト・ファンドの存在が社会になくてはならないものになっていると考えるからです。

マークテック株式会社 常務執行役員 佐野 嘉高様

現在のマークテック株式会社での業務

弊社の主力事業である非破壊検査と印字・マーキングに関する特注機械を設計製作する機械部、また、同様に主力事業の新製品の開発を行う研究開発部を管掌しています。
さらに、弊社海外子会社であるマークテック上海探傷設備有限公司の総経理を兼務しております。

マークテック上海探傷設備有限公司の会議風景

キャス投資実行時、佐野様が感じた会社の雰囲気はどのようなものでしたか。

私は2008年にマークテックを退職し、キャス・キャピタルが支援している2014年に、退職前と同じ研究開発部に復職しました。復職にあたっては、キャス・キャピタルから研究開発の業務工数をもとに弱みや課題分析シートの説明があり、それが私自身が感じていた課題とも一致したこと、またそれらの課題を改善して欲しいという熱い思いが私自身の復職を決めた一番のポイントになりました。
実際戻ってみるとキャス・キャピタルの投資実行後、4年間が過ぎたマークテックは、独資でタイ、中国(上海)に工場を設立し、グローバルに事業を展開しており、それまで閉鎖的であった環境が、たった4年で、世界を相手にした企業に変貌していたスピードに、とにかく驚きとやりがいを感じたのを覚えています。そして実力ある若手を中心に要職への登用が積極的に進められ、挑戦する機会が増えることで会社全体が活性化していくのが肌で感じられました。

キャス・キャピタルと仕事を一緒にしてみてどうでしたか。

とにかく合理的で正しいことはどのような立場の人の意見でも取り入れる、また 長い年月で風土化してしまっていた悪しき慣習は正面から改革を行い、同時に従業員全体のマインドという根底のところから変えていく。こういったキャス・キャピタルの取組みには、投資会社と投資先、という関係の枠を超えたチームとしての一体感を感じました。
そして今も我々が判断に迷ったときの拠所は当時キャス・キャピタルと一緒に取り組んだマインド改革や行動規範になっています。

今後のキャス・キャピタルに期待すること

高い品質やサービスを持つ企業でも、海外展開の経験がなく、投資リスクに対して積極的になれない企業や経営層の弱体化により事業継続が困難な企業が多くあると感じています。キャス・キャピタルには、そういった会社が、将来に希望や期待を持てる企業へ成長できるよう、一社でも多く支援していただきたいと思います。

マークテック株式会社 常務執行役員 市川 大介様

現在のマークテック株式会社での業務内容

弊社の主力事業である非破壊検査と印字・マーキングに関する製品の営業活動やマーケティング活動を中心に、グローバル営業部門を管掌しております。過去には、タイ現地法人社長を務めており、現在も同タイ子会社の取締役になっております。

マークテック・タイランドの会議風景

キャス投資実行時、市川様が感じた会社の雰囲気はどのようなものでしたか。

キャス・キャピタル参画前、私は営業畑一筋で、主に国内の東日本のお客様に対して営業活動を実施してきました。キャス・キャピタルの投資実行後、海外営業にチャレンジする機会を頂き、会社全体が海外展開に大きく舵を切る中で、インドネシアと韓国をメインに活動し、韓国現代製鉄様から、歴史的な大型案件を受注することができました。その後、タイ現地への赴任と現地法人社長という重責を拝命し、初めての社長と経営を実践させて頂きました。
英語も拙い中で、海外営業への参画、そして現地法人の社長という立場に対して、当時、私の中で色々な葛藤がありました。営業畑のみで歩んできた職歴から、総務、人事、経理、製造、品証、開発、ISOのマネジメントなど経験のない職務を決断していくのは非常に大変で、戸惑いの日々でした。ただ、今思えばとてもいい経験をさせて頂いたと思っております。また、自分の知らない能力も開花できたと考えています。

キャス・キャピタルと仕事を一緒にしてみてどうでしたか。

私は、キャス・キャピタルの投資実行と同時に、海外畑を歩む事となりました。とても驚いたのは、その仕事のスピード感とボーダーレス感です。仕事はどこにいても出来る。情報はスピードが命で、その報告のスピードと徹底力がすごいと思いました。
結果的に判断も即座に実行され、組織の末端までのスピードが上がりました。やはり、世界のスピードと戦っていくには、これぐらいでないといけないと学ばせて頂きました。
また、西本社長が推進頂いた執行役員制度で、私自身も執行役員に選抜頂きましたが、適材適所で年功序列に関係なく人材を抜擢するという点は、組織の活性化という点でとても良かったと思います。

今後のキャス・キャピタルに期待すること

キャス・キャピタルが掲げている、日本の経営者育成、特に若い経営人材の発掘に引き続き注力頂ければと考えます。日本には経営人材が圧倒的に不足していると感じております。
私は道半ばですが、志を一にして、微力ながら、次代を担う、将来の若い経営者の育成に励みたいと考えております。